金融業 2008 10 18
「フィレンツェよ。
成り上がり者と、にわか成金どもが、
おまえの中に傲岸不遜の風を生み出し、
そのために、おまえは嘆き苦しんでいる」
(ダンテ「神曲」地獄編)
私は、今の金融業が嫌いである。
私は、金融業とは、産業界における「縁の下の力持ち」と考えている。
今、この定義に当てはまる金融業は存在するのか。
仮に存在するとしても、
「晴れた日には傘を貸し、雨の日には傘を取り上げる」ようなビジネスである。
しかし、そんな金融業でも、かわいらしく思えるようになってしまった。
それは、以下の本を読んだからである。
書名 強欲資本主義 ウォール街の自爆
著者 神谷 秀樹 文春新書
この本から、わかりやすい例を引用しましょう。
(以下、引用)
サブプライム問題の本質は、「強欲資本主義」が、
貧乏人からカネを巻き上げるために生み出したシステムであることだ。
たとえば、65歳の女性に36,000ドル、返済期間15年というローンを組ませた例があった。
融資担当者からは「毎月300ドル強支払えばいい」と説明されていたので、
この女性は15年後の80歳には完済すると思い込んでいたが、
実際、このローンは80歳になっても元本分の返済が済まないという代物だった。
また、年収20,000ドルの家政婦に、
800,000ドル(約8千万円)の一軒家を買わせた例もある。
右も左もわからない米国で、ブラジルから来た移住者が、
自分たちの通う教会の聖職者から住宅購入を勧められ、
返済不可能なローンを組んでしまった例もある。
この聖職者は、融資の斡旋で手数料を稼いでいた。
(以上、引用)
数年前、「サブプライムローンと証券化」の功績として、
「貧乏人も、マイホームを買うことができるようなったこと」が称賛されたが、
実は、このシステムは、貧乏人からカネを巻き上げるために作り出されたシステムだった。
同時に、世界から集金するシステムでもあった(証券化商品)。